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平野啓一郎氏講演会を開催しました。

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2019年6月29日、本学の弘明館50周年記念ホールにおいて、小説家 平野啓一郎氏を講師に招き、「複数の自分を生きる〜「個人」から「分人」へ」と題する講演会を、本学総合共通科目「ことばと日本文化」の授業の一環として開催しました。

本学が所在する地域で高校時代までを過ごした平野氏は、1980・90年代の折尾や黒崎の風景、読書が好きではなかった子ども時代と小学校の先生から薦められて読んだ志賀直哉の『暗夜行路』主人公の煩悶、反抗期の中学時代など、郷土や家族の思い出を語って聴衆を沸かせ平野ワールドに引き込みながら、巧みな論調で講演会のテーマである分人論へと話を展開されました。
人は社会との関わり合いによって創られてゆくという主張を前提として、1990年代の就職氷河期に社会へ出ることになった平野氏世代のアイデンティティの創られ方はそのような社会の大きな影響下にあったことから、現代社会では、一個人としてのアイデンティティのもち方が難しくなっており、ぶれない個人という自己規定ではなく、複数の分人を持って生きることが現代社会で人が生き抜く真実でありコツであることを、丁寧に、真摯に、説いていかれました。

自分が自分を好きだと思える分人を持つこと、その分人とは他者とのコミュニケーションによってこそ創られるという分人論は、ことばを紡ぐことがいかに大切かをその基底部に響かせた、現代社会を生きるための温かさに溢れた応援メッセージでした。

小説家平野啓一郎氏は、社会の中の人間存在を考え続ける、私たちの代弁者であることを確信した講演会でした。(共通教育機構 講演会開催チーム)

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